高額医療費負担制度廃止検討について
高額医療費負担制度廃止検討について
財務省は令和4年7月27日に予算執行調査の調査結果の概要を公表しましました。
ここでまずは「似たような名前」で間違わないようにこの2つをチェック!
都道府県の国民健康保険・医療費財政のしくみのこと
患者さんが治療する時、大きな金額がかかった際の上限があるオトクな制度のこと
※この件は名称が似ている「高額療養費制度」がすぐになくなるというお話ではないのでお間違えないように。
(ちなみに「高額療養費」は一定の限度額を超えた際に払い戻しを受けられる制度です)。
・財務省のこの提言は簡単にいえば、今まで国が負担していた分の「高額療養費」補填のお金を都道府県でもってね!ということで、個人の患者さんの支払いが増えるといった話ではない。
⇒市町村が耐えられなくなった場合は「高額療養費制度」に影響があるかもしれないが将来はどうなんだろうという話のようです。
調査事案
高額医療費負担制度は、1件80万円超えの高額医療費に対して
・被保険者⇒50%・都道府県⇒25%・国⇒25%
の割合で高額医療費を負担しています。
【財務省調査】
高額医療費負担額の国保医療給付費に占める国の負担割合が年々増えているのに、平成18年度依頼見直しを行われていない。
最後に見直しを行った時より(国の負担が)2倍近くまで増加しているから(それを減らすための)見直しを行う。
国民健康保険の負担金のうち1/4を国が補填しているので、これを見直していこうという財務省からの提言であった。
どこまで減らすの?財務省の意見としては・・・
「平成18年度の割合(2.5%)を大きく下回るよう、金額基準の引き上げを速やかに実施し、予算規模を大幅に縮減すべき。」
⇒高額医療費は市町村による医療費の差を緩和するための制度だったが、そもそもこの制度は市町村への影響は限定的だったから予算減らすよとのことだった。
理由として
①国保の都道府県化による国保財源の安定化
・平成29年度までは市町村が個別に国保運営をしていましたが、平成30年度からは都道府県が財政運営の責任主体となって市町村とともに国保運営をするようにしていました。
■仕組み
・まず、都道府県が市町村に対して「その市町村の水準にあった国保納付金」を決め、市町村は一旦都道府県へ納付金を納付します。
・次に都道府県は市町村へ対して給付金に必要な費用を全額市町村に支払う
(市町村が給付に関する費用は都道府県から交付されるので、市町村は安心)
②都道府県内保険料水準の統一に向けた取り組み
・国は将来的に都道府県内の保険料水準の統一を目指しています。同じ都道府県において同じ所得水準・世帯構成であれば同じ保険料水準にしましょうといった取り組みです。
(それだけバラバラなのです)
同じ所得水準・世帯構成で=同じ保険料水準になった場合、医療費水準を納付金に反映させないことになります。
現在は市町村ごとに保険料負担の差が出ています。労働者人口の多い市は安く、高齢者割合が多い市町村は高い・・・など
その穴埋めとして国は高額医療費の国保1/4を負担しています。
市町村ごとの差がなくなれば、高額医療費で市町村の国保財政が厳しくなくということがなくなるので、財政は健全化されるよねという財務省の意見であった。
③納付金の算定方法による配慮
・国は保険料水準の統一をめざしているが、実際たくさんの課題があって保険料水準の統一はできていない。
⇒二次医療圏等での高額医療費の共同負担も可能にしています。
(健康増進・疾病予防・入院治療まで一般的な保健医療を提供できる複数の市区町村で構成された地域のことを言います)
※東京都などがわかりやすい
財務省は、二次医療圏では(複数の市区町村で構成されていけば)保険料水準の統一に近づくし、小規模な市町村において著しく高額な医療費が発生した場合のリスクを緩和できるとしている。
⇒保険料水準が統一されていない都道府県でも高額医療費により影響を最小限に抑えることができるとしている。
今後について
財務省はこれらの調査結果については各府省に対し令和5年度予算の概算要求や今後の予算執行に確実に反映するように要請している。
結果ひとことでまとめると・・・・
・高額療養費制度で患者さんが払わなくてよかった結構な金額を国保で穴埋めしていたんですが、その補填を国が今後減らしたいから都道府県でよろしく頼みますよ~という
形にまずしていきますという提言が財務省からでてきましたということです。
都道府県によってはそれによって今後苦しくなっていく県もあるでしょうから、そうなった場合、高額療養費制度自体の見直しもあるんじゃないのかな?ということを知っておいてくださいね!ということでした!